前回は「再生可能エネルギー特別措置法案」を経済界と環境団体との間の溝、という視点で書かれた記事を参考にしました。産経ニュースの本日の記事が論点をわかりやすく伝えていると感じましたので紹介します。

「再生エネ特措法」 料金値上がりは確実

太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を後押しする「再生エネルギー特別措置法案」の審議が国会で続いている。再生可能エネルギーによる電力を電力会社が買い取ることを制度化する内容で、温室効果ガス排出量を減らすと期待されている。ただ制度を導入すれば電気料金が値上がりし、製造業の経営を圧迫することは確実。産業空洞化を加速させる懸念が強く、法案修正は避けられない状況だ。

 

現在も行われている電力会社による電気の買取ですが、これは家庭や企業が自家消費するために太陽光発電を行い、使わずに余った電気を買い取るというものです。本法案が通過し施行された場合には、上記に限らず最初から電気を売る目的で発電された電気も買取の対象になるということ。だからこそメガソーラー建設という話があちらこちらから聞こえてくるのですね。経済的なメリットがあってこその太陽光発電促進ということです。

電力の買取り制度によって太陽光発電産業が大きく伸びた国として有名なのはドイツとスペインです。これらの国は太陽光発電を投資ビジネスの商品として扱い、電気料金の値上げにもかかわらず促進に成功しました。また、ソーラーパネルなど関連産業の成長をもたらし雇用を生み出すことにも成功しました。しかしながら最近では、太陽光システム産業に安価な外国製品が流入し「外国企業の儲けのための太陽光発電促進策は止めるべきだ」という世論も強くなってきているという記事を読んだことがあります。(このお話はまた後日に)

記事のタイトルにもありますが、本法案が可決、施行されれば電気料金は上昇するでしょう。電力会社には一定期間、一定量の電気を買い取る義務が生じます。買い取るための財源が必要です。電気料金に上乗せするほかないのはしかたありません。これで大きな影響を受けるのが産業界です。記事にもありますように大量の電気を消費する鉄鋼、化学メーカーにとっては大問題。電気料金が上がれば製造原価が上昇し、日本で生産活動を続けるのは不可能になってしまいます。太陽光発電の拡大に成功したドイツにおいても電気料金の上昇で製造業が打撃を受けたという歴史があるとのこと。一部の産業に対しては料金の値上げが見送られたという記事を読んだ記憶もありますが、事実はどうだったのでしょう?ソーラー発電の話題ではいつも模範的な先生のような存在のドイツでも負の要素があったのかもしれません。詳しく調べてみなくてはいけませんね。

再生可能エネルギーの普及は急いで進めたい。しかし国内産業を守らなければならない。これは大きなジレンマです。菅首相が先走って、国際的に公な場で掲げた目標値「2020年代の早い時期に全発電量の20%以上を再生可能エネルギーに!」に縛られる必要はないかもしれません。仮にそれが達成された場合には国民や世界の人々にとって具体的にどのようなメリットがあるのか?明確な説明はありません。もしかしたら、そんなスピードでは遅いのかもしれない。本当のことを誰か知っているのでしょうか..

おそらく国民の多くは、環境を守らなければならないと考えています。そのためにエネルギー政策は転換されるべきだし、電気料金の値上げもやむなしと思っていると信じます。しかし、あなた自身や家族が電気料金の値上げによって不利益を受ける産業・会社のメンバーならば、素直に再生可能エネルギーの普及政策に賛成できますか?新エネルギーへの転換に前がかりになっている現在の世論に違和感を感じてしまう人々は相当数いるはずです。また、電力会社への不信感から電気料金の値上げに反感を覚える人も多いはず。一般市民にとって不透明なことが多すぎます。

幸いにも現代は、すぐれた考察、分析、提案が多くの人によってなされ、それらをインターネットを通じて素早く入手できます。しかし公平な情報は決して多くはないし、公平に情報を選別するのはとても困難です。特に政治、エネルギー問題においては難しい。情報を扱う人もやはり主張を持った人間ですから。それは報道機関に対しても感じることです。だからこそ国の役割が重要なのですが、どうも隠し事が多すぎますね。