当初より自然エネルギーによって発電された電気の買取制度を作ることに経済界は消極的、むしろ反対の立場であることは明白でした。震災後の世間の空気の中でその立場を表明するのは避けてきたようなふしもありますが国会での審議が本格化するとともに、表面化してきました。
東京新聞が伝えています。
太陽光や風力など、自然エネルギーで発電された電気の買い取り制度創設を柱とする再生エネルギー特別措置法案。国会審議が本格化する中、自然エネルギー普及を目指す環境団体と、電力料金の値上げを抑えたい経済界の溝が表面化している。「経済界寄りに内容が修正されるのでは」と警戒する声も上がっている。
地震、津波による被害、福島原発の事故に端を発したエネルギー不安と反原発運動の活発化。この状況では化石燃料から再生可能エネルギー中心に転換することに反対する理由はありません。経済界がこれに反対しようとしても世論が許さないでしょう。
問題はコストをどのように、どれだけ負担するのか?ということです。
電気の買取制度を実施するためには財源が必要。その財源は当然、毎月の電気料金に上乗せする形で私たちが負担する事になります。気にしていない方も多いと思いますが、現在も太陽光発電による電気の買取は行われていて、毎月の電気料金に3~21円が上乗せされています。(月に300キロワット使用)電気料金明細の「太陽光発電促進付加金」という項目です。現在審議中の法案が成立し、電気の買取制度が実施された場合には上乗せされる金額は現在よりも大きくなります。明細には「再生可能エネルギー促進付加金」と記載されることになるとか。
環境団体は、上乗せされる金額が多少大きくなっても、自然エネルギーへの転換を促進するべきという立場です。化石燃料に頼った電力供給を続けていけば、原料原価の値上がりによって電気料金アップは避けられません。今、ここで太陽光、風力などへの転換を図り、そのための財源を多めに負担することによって、将来の電気の安定供給が可能になり、大幅な電気料金アップも避けられると考えているのでしょう。世間一般のコンセンサスを得ることは可能なのか少し心配な面もあります。
国会で政府は、電気料金に上乗せされる付加金に上限を設けようとしています。経済界は本来少しの電気料金アップにも応じたくないのが本音です。電気料金は固定の原価です。その値上がりは利益を圧迫し、例えば製造業であれば技術進歩の鈍化につながります。技術的な国際競争力を失ってしまうことは国としても受け入れがたいものです。付加金の上限設定は、国民の負担を最低限にし経済界にもなんとか理解してもらおうという政府の苦肉の策という感じに思えます。
環境団体は自然エネルギーの利用に制限を設けるようなものだ!と批判していますが、出るべくして出てきた案であるように思います。と同時につまらない案ですね。政府も各団体も国民の生活を断片的にしか捉えていないのでしょうか?家庭と企業と環境の現在と未来はすべてつながっていて、そのなかで直近で誰が、何をどれほどのボリュームで我慢したり、負担したりすれば、将来どのようなメリットがある。とかドイツのように環境フレンドリーなエネルギーへの転換を投資商品として推進するような政策を打ち出すとかできないものでしょうか?
買取制度の内容、成否は民間と自治体が一体となって進めようとしているメガソーラー構想にも大きく影響することです。推移をしっかり見るとともに、誤った方向に進んでしまわないように世論を形成する必要がありますね。

