前回の記事に引き続き、電池工業会会長のインタビューをもとに書きました。

大型蓄電池(家庭用を含)がなぜ必要なのか?

一般的には非常時の電源確保が理由として考えられますが、より深く大切な理由があることを、今回のインタビュー記事は教えてくれました。

記事を引用します。

太陽光・風力・地熱で発電した電気を電力会社が買い取る制度においては、自家発電した電力が電力会社の系統に逆流する『逆潮流』を起こす。そうすると電圧や周波数が不安定になる。もともと太陽光や風力は天候や時間で左右されるので不安定で、この不安定さを取り除くことができるのが大型蓄電池のよいところだ。

なるほど。

発電した電気を売ることができることが、再生可能エネルギー推進の大きな要素となっているのは間違いありません。メガ・ソーラー構想も全量買取を前面に押し出して、その構想の有効性を主張している印象があります。しかし、これまでの電力生産・供給の流れとは異なる仕組みをもたなければ、逆に電力の安定供給ができなくなってしまうリスクが発生してしまうのですね。

事実、インタービューの中で電池工業会会長は懸念を示しています。

現在国会で審議をしている全量買取制度は、『逆潮流』の問題が議論されておらず、よって大型蓄電池の議論もされていないから、電力の安定供給に問題が生じる可能性を指摘しています。

昨今の太陽光発電推進の情報を見ていると、売電による利益がクローズアップされる一面が強いのは確かです。家庭用であってもシステム設置にかけたお金を何年で回収できるか?利益は出せるのか?という点を強く押し出した記事や宣伝をよく見かけます。話題のメガ・ソーラー構想に積極的な自治体の思惑もそこにあるような気がしてなりません。それ自体が悪いことではありません。地方経済を活性化にもつながれば、それはとても良いことです。

事実、ドイツで太陽光発電市場が成長した背景には、太陽光発電にビジネスや投資的な魅力を付加したフィードインタリフ制度(以下FIT)があり、高利回りが期待できる投資商品として販売され、拡大していると言えます。そこでは環境フレンドリーという、いわばきれいごとは二次的な意味しか持っていないとも言えます。でも、結果的に環境に優しいエネルギー生産が拡大するならヨシとするべきではなかろうかと個人的には思います。とかく、「お金のため、商売のため」という面が強くなると嫌悪される傾向がありますが、それはいかがなものか?と。

電池工業会会長は、自家発電だけでなく自家消費を促す制度を作るべきだと説きます。そうすることで電力会社の系統への負担も軽くなり、蓄電池市場も拡大する、と。自家消費することがメリットになるような制度を作ることが必要だというのです。その点、ドイツは優れた制度を作ったと話しています。

それでは、ドイツで行われている制度はどのようなものなのでしょうか?

そもそもFITは、自家発電した電力全量を電力会社が買取り、家庭では自分で使う電力を電力会社から買う、という仕組みです。

そこにドイツが導入した制度とは、自家発電をし、自家消費した場合に、消費した電力に対しお金を支給するという制度。もともと使う電力は電力会社から購入しなければなりません。しかし新しい制度では下記のように自家消費をすることによって、全量を売ることよりも大きな経済的メリットを与えているのです。

(自家消費への支給額+購入せずに済んだ電気料金)> 全量売電額

 

確かに、このような制度が日本でも実現すれば、自家発電した電力を蓄電池に溜めて、自家消費する明確な理由ができます。人間は環境のため、地球のためとはわかっていても、経済的な不利益がある場合にはなかなか行動できないもの。逆にその部分が解決すれば市場は一気に拡大することでしょう。全量買取だけが先走っている印象の日本ですが、今後どのような議論が展開されていくのか注目です。